マウンテンバイクに10速は必要か??(長いうえに文章のみ!!)

先日の記事について表題のような質問がありました。
個人的な考えですが、必要か否かの見解を書こうと思います。
※コメント欄にて返そうかと思いましたが、思いのほか長いので、新たな記事として書きました。
少しマウンテンバイクのXCレースの歴史について、個人的な曖昧な記憶を元にお話を始めます。
マウンテンバイクはアメリカ生まれです。
初めは極めてチャレンジブル(おバカ?失礼!)な集団が山火事の時の消火活動に使用されていた山道を誰が一番早く下れるか?を競う遊びから始まりました。
そこら辺についてはDVD「クランカーズ」を参照下さい。
で、下りだけでなく登りも乗車したまま登りたい!ブレーキも利いた方がいい!というライダーの希望から各社メーカーが色々とアップデートした専用部品を次々とリリースしていました。
遊び(誰が一番か?というはっきりした物差しが必要になり)の次なる発展形として競技が生まれました。
当時のアメリカではNORBA(ノーバ:ナショナルオフロードバイクアソシエーション)が競技団体として生まれ、正式な競技スポーツとして世界を牽引していきます!
その頃のメジャーなコースレイアウトはマウンテンバイクの生まれた背景もあり、初めにドカンと登り、九十九折れのような下りを下るという単純なレイアウトが多かったと記憶しています。
その頃のギアは前3x後ろ7が主流でした。
ドカンと登り、平地はほとんど無く(ここが後の話に影響してきます)、下りを下る!なので、軽いギア(登り用)と重いギア(下り用)があれば脚力の問題はありますが、とりあえず事足ります。
同じ頃、ロードも多段化していった影響もあり、7→8→9と後ろのギアが増えて行きました。
ロードと違いマウンテンバイクは遊びから生まれた事もあり懐の深いスポーツです。
マウンテンバイクの競技人口は増えて行きました。
競技者はアメリカ・日本だけでなくヨーロッパ(ロード王国)やオーストラリア(トラック王国)にも増えました。
この辺りは一度でも耐久レースに参加すると理解しやすいと思います。
競技人口が増えたおかげで、認知度も上がり、アトランタオリンピックからは正式種目になりました。
そうなると趣味的・お祭り的なレースでは運営に限界もあり、お金集めが必要になってきます。
まず、一般人でも見ていて楽しめる(飽きない)ようにレース時間を最大2時間にするようにルールを決めました。
従来のXCレースよりペースが上がり、エキサイティングな競技になったのです。
さらに1LAPの距離を短くし、ギャラリーがレースの大部分の展開が見られるようにします。
それにより放送に耐えうる映像が撮れるスポーツへと変わりました。
スポンサーもお金を出しやすく、ギャラリーも楽しめるので一石二鳥的な変更でした。
さらに時代は下り近年(ここ10年くらい)はワールドカップはヨーロッパが主流となり、ロード王国の国々(UCI:国際自転車連盟=全ての自転車競技の支配者的団体)が競技を牛耳るようになりました。
するとさらにコースレイアウトはロードのように平地基調なレイアウトに変わります。
近年、良く耳にするマウンテンバイクのロードレース化!です。
ここからやっと10速のお話になります。
ロードに乗っている人は分かると思いますが、ロードの後ろギアは軽いギアでも小さく重い(23T~26T)です。
各社コンポーネントメーカーはだいたいマウンテンのコンポも製造しているし、適用技術は同じなので大きくて軽いギアはリリースしようと思えば、すぐにでもリリース出来ます。
でも、していません!
なぜでしょうか?
それはロードの使用状況が、常に舗装路を走り、ある程度の一定のケイデンス(クランク回転数/分)が確保されている(というより一定ケイデンスを確保させられる乗り物)からです。
ギアの枚数には上限(今なら最大11枚)がありますが、軽いギアが増えていたのは8速あたりまでで、その後は中間のギアが増えています。
その答えはケイデンスの維持がしやすいからです。
マウンテンバイクを町(舗装路)で使用している場合、もっと具体的な事を言うと信号のない平地基調な道を走っているとしましょう。
向かい風が吹いてきたり、ほんの少しの勾配の変化(ゆるい登り)等でギアを軽くしようとして、ギアを1段軽くすると・・・
今まで自分として良いリズム(一定のケイデンス)で進んでいたのに、急にギアが軽くなりすぎてケイデンスが上がりすぎてしまう!で、元に戻すと重い!!という経験は無いでしょうか?
そんな状況を防ぐために間のギアを出来るだけ増やしてギアの歯数の差を狭くしているのです。
ロードだと隣のギアの歯数の差が1というのもありますし、平地だけならかなり有効なギアです!
ここまでの話が理解出来、カンの良い方ならお分かりでしょう!
答えはマウンテンのロードレース化!です。
さらに付け加えると、以前世界を知る山田大五郎選手と我らが小野寺腱選手に質問した事がありますが、ワールドカップのコースは100km超えのマラソンでさえ整地されている!と・・・
周回数の多い平地基調なコースレイアウトに整地された道、まさにロードレースのようです。
マウンテンバイク競技で重要視されるのは幅の広いギア(軽いギア~重いギア)よりも一定のケイデンスを維持できるギアに変わりつつあるようです!
その為の10速化です、軽いギアを増やすのではなく、中間のギアを増やすのが目的です。
しかし、日本のコースレイアウトでは多分無くても支障が無いし、泥レースが多いのでギア同士の間隔が狭い10速は泥詰まり・さらにはチェーン切れのデメリットを生むかもしれません。
しかし、10速の一番軽いギアは36Tのようですので、軽いギアが1枚増えます。
これによりインナーギアの使用率が下がり、チェーンの内側への脱落の恐れが少なくなるというメリットもあります。
さらにXTグレードの10速は前が3枚で「3x10」の30速のようです。
インナーギア22Tのリアが36Tが使えると、壁のような登りでさえも攻略しやすくなります(壁は言い過ぎですが)。
これは日本の山道にもかなり有効だと思います。
スラムはXXという最高グレードにしか10速を採用していませんし、フロントはダブルのみです。
それに対しシマノは多分下位グレード(XTとSLX?だったかな?)にもリア10速を採用するようです。
でも、XTRは前2枚でしょうね!?多分。
各メーカーの思惑の違いがあるとは思いますが、完全に見据えているものが違うようです。
この辺もこの先、静観しておく必要がありそうです。
個人的な興味としてはスラムのXXにしろシマノのXTRにしろ、リア10速化には興味があります!
一般消費者として選択肢が増える事は単純に喜ばしい事です!!
結論「10速は必要ではないが、使用するメリットはある!」となります。
長かったうえに個人的な見解で申し訳ないですが、理解してもらえたでしょうか?

「マウンテンバイクに10速は必要か??(長いうえに文章のみ!!)」への2件のフィードバック

  1. SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    参考になりました♪
    ご教授、ありがとうございまっす。
    なるほどー。ロードで長距離乗ったことなかったんで「ほー」となりました。海外は平地、多いですしね~。いろんな要素と思惑が含まれて、の10速ですね~。
    走るエリアや、地域の地形に合わせた「地元」バイクがあっていいですよね~。
    自分用に"OITA BIKE"とか(笑)

  2. SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    どうも、いぬねこです^^
    全くの私的見解ですが、理解してもらえて光栄です!
    追加で思いついたのは、ヨーロッパの選手が増えた事も関係しているかもしれません。
    欧州では幼いころからロードに乗り、綺麗なペダリングの基礎が出来ていると思うので、ペダリング(ケイデンス)を重視する選手が自然と増えて行ったからかなぁ?と。
    需要が増えれば、メーカーは新しく作るという図式が成り立つので。
    対してアメリカが主力だった頃はBMX上がりの選手やモトクロス(オートバイね)のライダーが多かったので、バイクコントロールや力で乗り切るタイプのライダーが多かったのではないだろうか?とか・・・
    確かにXCレースでもダウンヒラーが表彰台に乗ったりしていたし・・・
    現代ではあり得ませんが^^
    さらに山本幸平選手を筆頭にダンシングを多用するライダーはギアが合わないので、ダンシング(パワー)で、つまり自分の力でギアの不足を埋めているのでは?とか・・・
    辻浦選手は10速をフルに使えそうな気がします。
    ここら辺はプロを捕まえて、情報収集する必要がありそうです。
    覚えていたら今度聞いてみます!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です